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HOME > 草太と花子 > 草太と花子 第一話
そうたとはなこ
きょうも雨。そとでは遊べない。 三時のおやつのあと、ぼくといもうとの花子は、 じぶんたちでノートを作ってみることにした。 ぼくは白い画用紙を、まんなかからふたつに折った。 それを何枚かかさねて、ホチキスでガシャンととめようと思ったんだ。
紙を折るのはスイスイできた。 かさねてみたらノートみたいな感じになったけど、 ホチキスでとめたら、こんなふうになっちゃんたんだ。 これじゃだいなしだ! どうしようかなぁ。
花子は「おにいちゃんより小さいノートにする」って。 ぼくが使ったのと同じ画用紙をはさみで半分に切って、 それからふたつに折っているんだけど、なんだかブツブツ言っているぞ。 「うーん、ちょっと折りにくい・・・。おにいちゃん手伝って!」 「しょうがないなぁ」とぼくも紙を折るのを手伝ったけど、 たしかにちょっと折りにくいんだ。 どうしてかな・・・? でも、まあいいや。ギュッと力を入れて折っちゃおう。
いもうとのぶんも紙はぜんぶ折れたから、 かさねてとじたいんだけど、 いもうとにもできるやり方はないかな。 「ただいま~」 あっ!おとうさんがおしごとからかえってきた!
みんなで夕ごはんを食べたあと ぼくといもうとは作りかけのノートを おとうさんに見てもらったんだ。 まず、ぼくのノート。 「こんなときは、このホチキスを使うと 針がたてになるからうまくいくぞ」
そして 「せっかくだから表紙をつけようか?」 と、箱の中からすてきな青い厚紙をとりだして、 かさねた紙の一番上においてから、とじてくれた。 やったー! これでできあがりだ。カッコイイぞっ!
つぎは、いもうとのノートだ。 紙が折りにくかったことを話したら、おとうさんは 「あぁ、それは目がちがうんだなぁ」と言った。 「えっ? 『目』ってなあに?」 と、いもうとはさっそく紙をひっくりかえして、じっと見ている。 「どこが目なの?」
「紙の目というのは『流れ目』とも言うんだけど、 紙のもとになるこまかいセンイが並んでいる向きのことなんだよ。 センイが流れている方向と同じにすれば、 折り曲げたり、切ったりしやすいのさ。 花子が折りたかった線と、紙の流れ目が合わなかったんだね。」
「わぁ~、どうしよう、だいしっぱいだー」 と、いもうとは泣きそうになって、ノートの紙を 食べちゃおうとしたんだ。
「いやいや、紙が少し折りにくかったけれど、 このノートは失敗じゃないよ。 せっかくだからこれにも表紙をつけて使おうな」 それからおとうさんは、いもうとが好きな赤い色の 厚紙を表紙にして、輪ゴムをパッチンとかけて、 あっという間に、ノートに仕上げてくれたんだ。 よかったー!
ぼくが作った青いノート。 いもうとが作った赤いノート。 じぶんたちで作ったりっぱなノートだ。 なんでも書き込めるぞ。 日記帳にしようかな? 自然かんさつノートにしようかな? おこづかい帳でもいいなぁ。 わくわくするなぁ。 なんだかあしたからが、たのしみ!
それにしても、紙の「流れ目」ってはじめてきいたよ。 いんさつ工場でたくさんのいんさつをしたり、本を作ったりするときは、 仕上げたいかたちに合わせて、『目』を考えないと、 おしごとがうまくいかないんだって。 紙にとって『目』はとっても大切なことなんだね。 でもさぁ、「紙のセンイ」ってやっぱりまだよくわからないや。 こんど、おとうさんにまたおしえてもらおうっと。