草太と花子4

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そうたとはなこ
絵 ・ 川連 里美

第四話 おじいちゃんといっしょに作った紙の話

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もうすぐ春休み。
そして春休みが終わると、
妹の花子は小学一年生になるんだ。
新しい友達、たくさんできるといいね!

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おばあちゃんとおじいちゃんから花子の
入学祝いが届いたんだよ。
お父さんが、この袋も和紙でできているって言ってた。

絵ハガキやお祝いの袋、おばあちゃんの家には
和紙がいっぱいあるのかな?

そういえば、お母さんが「春休みになったらみんなで
おばあちゃんの家に行こう」って言っていたっけ。
いろいろと見せてもらおう!

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「ねえ、おばあちゃん。ちぎり絵のハガキや
入学祝いの封筒って、和紙でできているんでしょう?」と、
ぼくが聞いたら、

「あら、ずいぶん勉強したのね。そうねぇ、あとは・・・
このお部屋のしょうじの紙も和紙なのよ」
と、おばあちゃんは教えてくれた。

和紙を使っているしょうじは、お部屋にお日様の光が
やわらかく届いて、明るくて暖かいんだって。




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そしたらね、おじいちゃんが、
「そうだ、和紙を作るときと同じようなやり方で、
牛乳パックから紙を作ることができるぞ」と、
教えてくれたんだ。

だから、ぼくと花子も手伝って作ってみることにしたんだ。
だいじょうぶかなぁ、むずかしくないかなぁ?


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からっぽになった1リットルの牛乳パックを
1つ用意した。

紙パックの内側と外側には牛乳がしみこんで
こないように、うすいビニールのようなものが
貼られているから、まずそれをはがすんだって。

お湯につけておいて、ふやけてやわらかくなったら
手ではがすんだ。

それをうんとこまかくちぎってちぎって、
水にひたしておく。


ここでミキサーの出番だ。ちぎった牛乳パックの
紙をミキサーに入れ、水をたっぷり入れて、
ドロドロになるまで混ぜる。
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うすいビニールをはがすのに、時間がない場合は、
お鍋に入れて煮てもいいのよ!

それから、混ぜるときはミキサーがこわれないように
時間をあけてゆっくりとね!

ミキサーで混ぜた白いドロドロが「紙のもと」だよ。

「これを大きいボールなどに移して、すくいあげて水気をきれば、紙ができるというわけじゃが、今日はこんなものを使ってみようか」と、おじいちゃんが持ってきたのは、発泡スチロールトレイと台所のゴミの水切りネットだった!

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ネットは、ザルや網戸のネットも利用できるわね!

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おじいちゃんが作ってくれた「簡単紙すき枠」を持って、
「紙のもと」をすくいあげると、わぁ!びしゃびしゃの紙だ!



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上から手で軽く押さえながら水気を切って、
枠からネットごとはずし、
テーブルに用意しておいた新聞紙とタオルを
重ねた上に乗せて、またネット、タオル、新聞紙をかぶせて
ギュッとおさえ、水気を取る。



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「もう、だいたい大丈夫だろう」とおじいちゃんが言うので、
そーっと開いて取り出すと、やったぁ!!
まだ湿っているけれど、紙の出来上がりだ!!
あとは乾かすだけ。ガラス窓に貼って、自然乾燥だ。



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「わたしにもやらせて」と花子が紙すき枠を持った。
「おもしろーい、おもしろーい」と何回もすくうから
枠に山盛りになっちゃったんだ。

「花子、ひとりでそんなにすくったら、
これでおしまいになっちゃうよ」
とぼくが言うと、
「わぁ~、だいしっぱいだぁ~」とはんべそをかきながら、「紙のもと」を食べようとするので、あわててとめたんだよ。





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「失敗じゃないけど、ちょっと多すぎたかな、花子。
でも、『紙のもと』をたくさん乗せれば、厚くて丈夫な紙が
できるんだよ。」って、おじいちゃんが教えてくれたんだ。

「そうか!お正月の書き初めの紙なんかは、
逆に少ない紙のもとで作るからうすいんだ。」

「さすがだね、草太は!」と、
おじいちゃんがほめてくれた。
エヘヘ、てれるなぁ~

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「花子の紙にはこれを入れてみたらどう?」と、
おばあちゃんが去年の秋に作ったきれいな押し花をもってきてくれた。
花子もきげんを直して、もう一度チャレンジだ。
すくった「紙のもと」の上に押し花を乗せて、
その上からまた「紙のもと」を少し流し込んで・・・。

花子の作った紙は、おしゃれな紙になったぞ!

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紙作り、とっても楽しかった。ぼくたち、出来上がった紙を
コースターにしたんだよ。
和紙の作り方もわかったぞ。

お父さんから教わった紙の種類には「和紙と洋紙」って
いう分け方があったよね。

ところで、このコースターの紙には、
「流れ目」ってあるのかな?