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沢でも歩いてみようか。山一つ越えたところにはよく行ったんだ。子どものころから!!(写真 全6枚)

                                                                                                (2012.7.26 星野農林  星野祐治さん)

里山に生きる-夏編は、涼を求めて沢歩きです。一時、渓流釣りに凝っていたという星野さんの釣りポイントへ連れて行って頂きました。透き通った川の流れを眺めていると、姿は見えませんがカナカナ(ひぐらし<蜩>)の声。沢のせせらぎやひんやりとした空気も暑さを忘れさせてくれます。

一見すると自然が作り出した三角州・・・しかしこれは最近増えてきた集中豪雨によって運ばれた大量の土砂が砂防ダムの手前にたまってしまったもの。以前はもっと小さい面積だったそうです。このような変化がわかるのも、その土地に生きて見つめ続けていればこそですね。

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星野さんが作り出した美しい道具たちの素材もまた里山の恵です。春の山歩きで探した鹿の角がタモ網やナイフのハンドルに生まれ変わります。「人と猿との違いは、手を使って物を作るかどうか。どんどん使った方がいい。」と星野さん。都市部で生活している私たちは必要な道具はお金と交換して手に入れています。何の疑いもなく・・・。

これは「食」についても同様で、「消費者」である私たちは、いつ・どこで・誰が・どうやって採ってきて調理したのかも分からないまま、食べていることが多いのではないでしょうか。「子どもの頃から体をいっぱい動かせば、お腹が空いて、身近に生えているものの中から食べられるものを探そうとするのは自然なこと。動物の肉だったら、どうやって捕まえて、どうやって食べるかを工夫する。そうした中で、食糧を得ることがいかに大変なことなのかを実感してきた。」という星野さんの言葉に「まっとうに作ったものを食べて欲しい」と椎茸作りや米づくりに取り組む星野さんの姿が重なりました。



また、人の暮らしが人の手で生み出されてきたことを示すものを見せていただきました。木造二階建ての、かつて葉タバコの栽培が盛んであった頃には作業場や倉庫として使われていた建物の梁に「昭和11年1月16日 星野庄三郎 建呈」の文字。そしてその梁や柱は、機械が均一に製造したのではなく、人の手によって製材されたチョウナ(昔の大工道具、鍬形の斧)の跡がありました。

全てがお金の価値に置き換えられ、「経済発展」のもとに次々と生み出される新しい物や情報であふれている私たちの生活。里山地域もまた、その潮流の中にあるといいます。生きるため、食べるため、そして楽しむためにじっくりと時間をかけて、手仕事をする星野さん。私たちが便利な生活を求めれば求めるほどに、このような里山の生活で得られる時間や、心の豊かさが欠けていっているような気がしてなりません。

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今回もたっぷりお付き合い頂きました。思いがけず星野さんのお父様とお話しすることができた上、私たちにとってはまさにお宝発見!!昭和29年当時の教科書と遭遇!!感激いたしました。次は秋に伺います!是非よろしくお願い致します。


※現在、星野農林さんでは福島原発事故の影響で原木椎茸を販売しておりません。生産者さんによっては、放射能の影響の少ない地域からホダ木を購入するなどの対策をとっているところもあります、補助金なども整備が進められているようです。しかし星野さんは、地域の里山を生かし守るため、近い将来また出荷できるよう、除染の実践と研究を日々行っておられます。東京洋紙店では、原木椎茸栽培復活を心からお祈り申し上げ、応援し続けます。



2012.4.4星野農林さん 189.jpg柄は、山で見つけてきた鹿の角
星野河合 114.jpg星野さんのお父様「たまに目を通すんだ。苦手だったから(笑)」
星野農林 2012.7.26 015.jpg星野家では今も現役、昭和29年漢文教科書 
星野河合 059.jpg子どものころを想う!?星野さん